「私は部長が出来ます」という人は本当にいるのか

シニアの転職の話題になると必ず出るのが、あなたは何が出来ますかと面接で聞かれ、「私は部長が出来ます」と堂々とアピールする人がいるという話がある。世間に通じる一流のスキルや知識が何もなく、今の会社で「部長」をそこそこやってきたということで、単なる管理職としての「部の長」の仕事で転職できると考える人のことだろう。しかも年収アップを期待しての転職である場合が少なくないだろう。


そもそも世間一流のスキルも知識もない人がなぜその会社で「部長」になれたのだろうか。その人以外は皆無知無能なのだろうか。そんなことはないだろう。


結局、特定業務の専門性とかスキルとかを磨くことより、社内調整や上司の忖度に長けた「卒の無い案件処理」ができる能力はあるのだろう。ある程度のアタマの良さがあれば、人事でも経理でも総務でも、優秀なメンバーがいれば「部長」の仕事に必要なものは、世間に通用する専門性より、社内の人脈情報網と調整力、そしてムラ社会を守る口の固さが大事なのだ。


そんな人物が増えれば増えるほど、管理や調整しかできない部長ばかりになり、それに引っ張られ部下も実力が劣化し、知らぬ間に世間から遅れを取って、企業は衰退していくのだろう。