経費削減の指示は、役員報酬をとことんカットしてからにせよ

私が勤務する会社は、対外的には主要な事業領域は3つと説明しているが、実際は1つの超優良事業が長年に亘って売上高、シェア、収益性で抜群の状態を続けて全社を支えている。完全な一本足経営で、数年おきに新製品を出して既存顧客に更新させるだけ。これで何年もやっていけるなんて普通あり得ないこと。そんな事が出来てる事は、それはそれで素晴らしい事ではある。そんな事業があるおかげで、これまで様々な要因で全社的な業績悪化が襲ってきたが、その度にその超優良事業に背伸びをさせ、加えて全社的に経費削減をさせて何とか数字を作ってきた。どんな危機でもそれで乗り越えて来られたのは事実である。

 

でも、超優良事業の繁栄は永遠には続かない。絶対に。

最近、また経営陣が経費削減を言い出している。働き方改革や業務改革の美名に隠れて。

経費削減の大号令はもう聞き飽きた。でも現場では、千円単位で節約が始まる。イベントや出張の中止、延期、規模縮小・・・。モチベーションも下がる。

しかし、経費って投資そのもの。投資は将来の発展の為に今使うカネであって、投資を削るというのは発展の可能性を低めることに他ならない。業績が悪い時に真っ先に削るのは投資ではなく、役員報酬である。役員報酬は、良い業績の達成に対して支払われるべきもので、将来への投資ではない。今どれだけ役員に報酬を払おうと、会社の将来発展に何も寄与しない。誰かの悠々自適の老後の為に個人の懐に入るだけだ。

それに、これまでの経費削減がどう悪影響を及ぼして来ているか、誰も把握できていない。把握しようともしなかった。過去の経費削減がボディブローのように企業体質の劣化を招いているように思う。

業務改革を錦の御旗に掲げてムダな経費を削減せよというのなら、ムダな役員およびその報酬こそ真っ先にカットすべきではないか。売上が上がらないのに将来への投資を削って目先の利益を確保する手段に出る会社は、経営者が無能である何よりの証拠だ。

今の役員連中も、社員の時代に何度も経費削減をさせられる立場にいた訳で、経験的に、業績不振対策の常套手段としてとにかく経費削減を叫べばいいと思っているようだ。悪しき慣習はこのように引き継がれる。

業績が悪くなればまず真っ先に自分の報酬を返上することから始めよ。それが出来ないなら経営者を名乗る資格はありません。