役員には”休日”などありませんよ

役員と社員では「休日」のあり方、扱いが違ってきます。役員には「休日」などありません。役員は労働基準法で守られず、就業規則は原則的に適用されないものだからです。

 

そもそも役員とは、取締役会の委任によりある一定範囲の業務執行責任を負う立場であり、会社から雇用されている労働者(使用人)ではありません。労働者でないから、労働基準法で守られてもいません。会社によっては、雇用する労働者(使用人)の最上位レベルに”執行役員”という肩書きを与えて、まるで役員のように扱っているところもありますが、多分、就業規則に何か定めて対処しているのでしょう。でも、そもそも執行役員なんて法令の定めなど無い、唯のラベルです。指名委員会等設置会社における「執行役」とは全然違います。

 

会社と組合で合意する労働協約は労働者の為のものであり、労働者は労働協約に従って定めの範囲で労務を提供しますが、範囲外では提供義務はありません。要するに、堂々と仕事しなくていい日です(もちろん事情によって調整に応じるのはアリです)。しかし役員の場合は、土日や祭日、お盆や年末年始など、最初から「休日」すなわち「仕事しなくていい日」だと思っているとしたら大間違いです。土日に出社して役員会議したり、自宅で終日メール処理したりしても、「休みを返上して仕事してる」などと勘違いしないでほしいです。もっと言えば、仕事しなくていいと決まっている時間帯すらありません。そもそも始業時間も終業時間も無いのですから。もちろん人間ですから心身の健康維持の為に休息は必要ですが、それも全て委任を受けた業務執行の責任を果たす為の小休止でなければなりません。そうすると、24時間365日、業務遂行に没頭せよということですね。正に、全身全霊で取り組むということです。

 

もし、家族の介護や看病、私的な重大事への対処が必要となったら、仕事をちょっと中断することは果たしてどこまで許されるものでしょうか?何千人、何万人の社員とその家族の生活を支える会社の経営よりも、役員の個人的な事情が優先されていいはずがありません。また、しばしば仕事を中断しても会社経営に大した影響がないとしたら、そんな役員は無用の長物ということが立証されたようなものです。

 

役員として就任している限り、会社の経営を全てに優先すべきと思います。役員とはそういう立場であり、だからこそ労働者と比べて飛躍的に高い報酬が伴うのです。そして成果を上げられなければ退任するのが適切な振る舞いです。

 

サラリーマン経営者の多くは、この辺を全く理解していませんね。出世レースの勝者が上がる表彰台だと勘違いしているようです。